無類のジャイアンツ嫌いの私だが、それは単にヘソが曲がっているのではなくて、強いものを倒すことが勝負の醍醐味だからだ。

しかしその私でも長嶋茂雄の魅力には贖えない。numberで長嶋茂雄特集をやった時も思わず買ってしまった。

NHKで長嶋茂雄のインタビューをやっていた。

とても印象的だったのは、素振りを真っ暗な部屋でやって、空気を切る音で調子を見ていたというのだ。やはり常人ではない。

そしてそれを松井秀喜にも教えたというのだ。恐らく、単にバットスイングが早ければいいのではなく、角度やリズム、そんなものを総合的に見ていたのだろう。

理論家などと呼ばれる人たちが、筋肉の使い方やフォーム、重心なんかで打撃理論を語っているが、長嶋茂雄はそんなものを超越しているのだ。本当に心からすごいと思った。

そして番組の最後で、有働アナが「今の夢は何ですか?」と尋ね、ミスターは「走りたいね」と言った。横に息子がいたのでぐっとこらえたが、こみ上げるものがあった。

あの快速で鳴らしたミスターが、脳梗塞の後遺症で、苦労はしていても、自分の人生は幸せだと言い、そして夢が走ることだというのだ。

何処までもストイックでピュアなミスター。翻って、そういう当たり前のことが幸せだと思えない私の何と傲慢なことか。

私もミスターが再び走る日を楽しみにしている。

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